メタボリックシンドロームとメンタルヘルス障害 / by Noriko Ikedastemo

うつ、躁うつ、不安障害。そのようなメンタルヘルス障害(うつ、躁うつ、不安障害、ADHD、自閉症、統合失調症等)で苦しんでいる方々がおられます。また、現在そのような症状はなくとも、今後メンタルヘルス障害を抱える可能性は誰にでもあります。そのような場合、心療内科や精神科での診察・治療がもちろん大切ですが、「精神面からのアプローチと同時に食事方面からのアプローチも必要な場合がある」という話が今回のテーマです。

まずは

メタボリックシンドロームの診断基準はこちら。

 

ウエスト周囲径 男性 85cm以上 女性 90cm以上 これらに加えて以下のうち2項目以上を満たす場合メタボリックシンドロームと診断されます。

① トリグリセライド(中性脂肪)が150mg/dl以上、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が40mg/dl未満。いずれか、または両方。

② 上の血圧が130mmHg以上、下の血圧が85mmHg以上。いずれか、または両方。

③ 空腹時血糖値が110mg/dl以上

上記診断基準は2016年現在のものです。将来腹囲を含まない新しい診断基準がはじまる予定があるようです。

 

さて、メタボリックシンドローム(以下メタボ)と言えば動脈硬化や糖尿病との関連がまず思い浮かびますが、メンタルヘルス障害も高い比率で合併しています。アメリカでは、メタボの人の約45%にメンタルヘルス障害を認めるとのことです(参考文献1)。一般人口でのメンタルヘルス障害発症は25%と言われており(参考文献2)、メタボではかなり発症率が高いことがわかります。この二つの病態が影響し合うメカニズムについて様々な研究や報告がなされており、その報告をまとめた図が以下になります(参考文献1、2より引用作成)。

 

「肥満」というと単に脂肪が多いだけだと思いがちですが、実は肥大した脂肪細胞からは様々な炎症性タンパクなどが分泌され、全身に影響を与えます。また、メンタルヘルス障害に陥ると、色々なホルモン産生に影響を与えます。同時に食事や運動にまで気を使う余裕がなくなり、メタボにつながる。そんなふうにお互い影響し合っているようです。参考文献1では、炎症性タンパクやホルモンの詳細な研究結果が載っていますので、興味のある方は読んでみてください。

また、典型的な症状や検査によって、いずれかの栄養素の欠乏症と診断される前の段階でも、栄養素の不足や欠乏が多くの精神症状を伴うことが知られています(参考文献3)。

メタボリックシンドロームとメンタルヘルス障害。治療をする場合は両方を視野に入れて検討する必要があるかもしれません。

 

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参考文献

1. Elizabeth K. et al. Unraveling the mechanisms responsible for the comorbidity between metabolic syndrome and mental health disorders. Neuro-endocrinology 2013;98:254-266

2. メタボリックシンドローム・肥満とメンタルヘルス障害 アンチエイジング医学の基礎と臨床 第3版 p217-218

3. 精神疾患症状予防を目指した食事 アンチエイジング医学の基礎と臨床 第3版 p238-240