噛めば噛むほどいいことあるかも / by Noriko Ikedastemo

今回は「よく噛むっていうすごく簡単なことが、実はこんなことにつながる」ということについてまとめてみました。

1)   噛んで唾液を出す その1 EGF (上皮成長因子)

「よく噛む」ことは唾液腺を刺激し、唾液分泌を促します。1950年代コーエン(コーエンの英語の説明はこちら 日本語の説明はこちら)が上皮成長因子として発見したEGF。唾液に多く含まれ、皮膚などを修復する作用があります。皮膚などが傷ついたときは血液や汗、唾液などを通じて供給され、傷跡を残さず修復します。動物がケガをした時に傷をぺろぺろと舐めますね、あれが医学的に意味のあることだと証明されました。コーエンさんはノーベル医学・生理学賞を受賞されました。

 

2) 噛んで唾液を出す その2 NGF(神経成長因子)

1954年レビーモンタルシニが神経栄養因子として発見したNGF。大唾液腺の一つ、顎下腺から唾液に分泌され、神経細胞を維持したり、修復したりする作用があります。学習能力の低い高齢のラットにNGFを1カ月間投与すると、学習能力が改善されたという報告もあります(参考文献1)。レビーモンタルシニさんもノーベル医学、生理学賞を受賞されました。

 

3)   噛んで唾液を出す その3 唾液の抗菌作用

唾液にはラクトフェリン、リゾチーム、ラクトペルオキシダーゼなどの抗菌物質が含まれています。唾液を出すことで細菌の増殖を抑え、感染を防ぎます。唾液が少ないと口臭や虫歯の原因になる菌が口の中で増殖、繁殖します。

 

4)   噛んで脳を刺激

「噛む」ことによる刺激が脳に伝わって部分的に活性化される報告は以前からありました。報告により活性部位は異なる場合もありましたが、最近下記のような脳の特定の部位が「噛むこと」で活性化されると報告されたそうです。(参考文献2)

感覚野:歯に加わった圧力がどこからのものか認識する部位

運動野 :筋肉に「動け」と命令する部位

前頭前野:適切な社会的行動の調節、考えや行動を組み立てる部位

海馬:短期記憶を保存する場所

線条体:ヒトが持つ「やる気」と関係すると考えられている場所

 

噛むことで記憶、思考、意欲を活性化できるなんて、ステキすぎませんか。

 

5)   噛んで糖化➡︎老化を防ぐ

急激に血糖が上昇すると、余った糖とタンパクが反応して蛋白糖化最終生成物(AGE)が出来ます。これを糖化と言います。(食事から体内に入るAGEもあるのですが、AGEに関しては長くなるのでまた後ほど詳しく記事にしますね。)このAGEが蓄積すると、動脈硬化、骨粗鬆症、認知症、皮膚の老化など、様々な臓器の老化を加速します。よく噛み、ゆっくり食べるということは急激な血糖上昇やインスリン分泌を避け、「糖化」を防ぐことができます。また、満腹中枢が刺激される前にオーバーカロリー分食べてしまうということもありませんね。

「よく噛む」ことにも情熱を傾けてみませんか。

 

 

さてさて、医学的情報は以上でありまして、以下は独り言です。

 

自分は痩せているから、とか、お菓子食べないし糖化なんて関係ない、と思っている方はいませんか。私は嫌味ではなく食べても太らない体質で、スナック菓子は好きでないのでほとんど食べず、ケーキもそんなに食べません。若く見えるねなんてお世辞を間に受けて完全に調子に乗っていました。

今年の抗加齢医学会で、腕を乗せるだけで数分で糖化ストレス(AGE)を測れる機械が発売されます!というブースがありました。面白そうーと得意げにその列に並び、測定してもらったところ、、、衝撃の「実年齢➕20歳」という結果をくらいました。あまりに衝撃すぎて、翌日もう一回測定に行ったくらいです。同じ結果でしたけど。なんでやねん、そんなに甘い物食べてないし、野菜も食べてるのに、、でも確かに、かなり早食い。食べた後苦しくなるくらい満腹になることもよくあり。唐揚げ、コロッケ、おかずパン大好き。朝ごはんとおやつはこんがり焼いたマフィン(手作りで砂糖はレシピの半分以下にしていたのでいいと思っていた。)・・・そうですね、当然の結果です、私間違っておりました。以来料理には極力気をつけ、まず野菜からとにかく噛んでゆっくり食べるよう心がけています。会話に夢中になるとついつい丸呑みしてますけれど、、衝撃的でしたが、まったく自覚がなかったので、気づかせてもらえて感謝しております。

皆さんの食習慣はいかがでしょうか。

 

最後に、追記です。今回ネットで「唾液、アンチエイジング」を調べると「唾液の中の若返りホルモン、パロチン」についての記事がものすごくヒットしました。「パロチン」は聞いたことがなく、ネット上でかなり盛り上がっているので読んですごくワクワクしましたが、医学論文雑誌で検索してもそのような「パロチン」に関するワクワクする記事はヒットしませんでした。こちらの医師のブログを見ますと、「パロチン」に関しては構造式や分子量すら該当資料はないということです。ということで今回あえて触れませんでした。上記 1)〜3) 唾液についての記載は、抗加齢医学会の講習会の中で大阪大学歯学部 阪井丘芳先生に教えていただいた内容を載せています(阪井先生の部屋はこちらです。ドライマウスについて詳しく載っていますよ。)その講義の中でも「パロチン」という言葉は一言も出てきませんでした。残念です・・でも、若返りホルモンがなかったとしても唾液はとても大切で、上に書いた以外にもたくさんいいことあるんです。というわけで、次回も口腔と唾液について、栄養士から頂いた記事を紹介予定です。

 

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