膝のアンチエイジング〜ランニングは膝にいいのか悪いのか?〜 / by Noriko Ikedastemo

「変形性膝関節症」をご存知でしょうか。膝の軟骨がすり減って、関節が変形し、膝が痛くなる病気です。最初は動くときだけ痛みますが、ひどくなると動かなくても痛みます。原因は、関節軟骨の老化や肥満などですが、怪我などの後遺症として発症することもあります。

一般的にランニングは膝に余計な負担をかけるというイメージがありますし、私もそう思っていました。ランニングで膝を痛めた、という話もよく聞きます。今回はその逆、ランニングはむしろ膝の炎症を軽くしているかも、という報告を紹介します。

Hyldahlらは、18歳から40歳までの健康な男女に30分間ランニングをしてもらった前後に膝の関節液を採取し、分析しました。また、別の日には、30分間じっと座った状態の前後にも同様の検査を行いました。その結果

ランニング後は、関節の中の炎症状態を表す「インターロイキン15」という物質と、「GM-CSF (Granulocyte macrophage colony-stimulating factor)」という物質が減少していました。座った状態の前後では何も変化はありませんでした。

関節に痛みが起こるということは、なんらかの炎症反応が起こっているということ。ランニングの後に炎症物質が減ったということは、ランニングが膝の炎症を減らす効果があるかもしれない、ということになります。

ただこの論文、調べた人はたった6人なんです(15人集めましたがサンプルをきちんと取れた人が6人)。たったそれだけ、、ですよね。ただし、これまでにも、例えば変形性膝関節症の進行を抑えるためには運動療法がいいという報告はたくさんあるようですが、全て「膝がすでに悪い人」の検査結果でした。「健康な膝の人」で、膝関節と運動との関係を調べたのは、この論文が初めてだそうです。

確かに、膝が悪くない健康な人の膝に、18ゲージの針を刺して関節液を抜くのです。研究とはいえドキドキします。6人という少ない数ではありますが、とても貴重なデータだと思われます。

 

さてさて、最後にご注意です。変形性膝関節症で、すでに膝が痛い人に運動療法はいいようですが、痛いけど無理に歩いて根性で治す、というものではありません!!それぞれの病状に応じた運動療法がありますので、整形外科の先生に聞いて実践してくださいね。

また、今までまったく運動をしていない人が急に走り出すことは、変形性膝関節症を進めることになってしまうそうです。ランニングを始めるのであれば、距離も速度も少しずつ伸ばしましょう。走るフォームで膝の痛みが出たりすることもあるようですので、そこも気をつけましょう。

 

さて、またまたお知らせです。少し早めで、少し長めの春休みをいただきます。次回は4月17日から再開いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。英語のコラムの方は私が休みの間、不定期にアップしてくれると思われます。コメントなどは休み中も確認しますので、よろしければいつでもどうぞ!

 

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参考文献

1. R.D.Hyldahl et al. Running decreases knee intra-articular cytokine and cartilage oligomeric matrix concentrations: a pilot study. Eur J Appl Physiol (2016) 116: 2305-2314