家事も立派な運動です / by Noriko Ikedastemo

運動とは「体を動かすこと」。スポーツやウォーキングだけが運動ではありません。つまりはそうじなどの家事や体を動かす仕事、それも立派な「運動」になります。そのことを意識するかしないか、その「考え方」ひとつで、同じことをしていてもより運動の効果が得られた、という報告を今回は紹介したいと思います。

 

Crumらは、84人のホテル清掃員を二つのグループに分け、片方のグループには普段の仕事がいかにいい運動になっているかを細かく説明しました(参考文献1)。例えば、シーツ交換を15分したら何キロカロリーの運動、掃除機を15分かけたら何キロカロリーの運動です、というふうに具体的に説明。そして、実は普段の仕事だけで国が勧めている運動量を満たしているんですよ、という事実を伝えました。もう一方のグループには何も情報を与えませんでした。

4週間後の結果はこちら

情報を与えられたグループの人たちは、「自分は日々こんなに運動をしているんだ」という自覚が増えました。そしてコントロールグループ(何も情報を与えられていないグループ)と比べて

・体重が減少

・体脂肪が減少

・血圧が低下

・ウエストが細くなる

などの変化を認めました。もちろん、仕事以外の運動が増えていたり、食事を変えたりなどはしていないことは確認しています。これまでと同じ仕事、同じ生活をした上での結果です。

 

「プラセボ効果=偽薬効果」をご存知でしょうか。「薬のように見えるもの」を、効果があると信じることで本物の薬の効果があらわれることを言います。これまでのプラセボ効果の報告として以下のような報告があります(全て文献1の中の参考文献です)。

・抗うつ剤の薬の治験で、半分の人は「偽薬」で効果を認めた。

・「偽の」ツタウルシ(野生のウルシの中で、かぶれる毒性が最も強い種類)で本当に皮膚のかぶれが出た。

・「偽の」カフェイン摂取で運動能力が上がったり脈拍が上がったりした。

・麻酔をして、「偽の」腱や靭帯の手術で、膝の痛みや腫れが治った。(手術をしたように見せかけたということでしょうか、直接この文献を読んでおらずすみません。しかしこんな実験していいのかと他人事ながらドキドキします。1998年の報告です。)

こころの持ち方で体を治せる場合がある、ということになりますね。こころと体はつながってひとつ、こころの持ち方で体の反応が違ってくることは多々あるようです(「みんな必ず年をとる」。)

この文献での結果は、「運動そのものは増やしていなけれど、運動をしている自覚が増えることで、よりよい運動効果がえられた」というプラセボ効果の一つと考えられます。筆者たちは、運動の「自覚」が増える、そのような「心」の持ち方で、より「体」の健康増進につながるという仮説を立て、それを支持する結果が出ました。ただし、研究期間中の仕事外の運動や食事等についてはあくまで自己申告なので、「何も変えていない」と言いながらもしかしたら少しは何かを変えた可能性は捨て切れません。それでも、情報を受けたことで行動の変化があったならそれはそれで面白い結果だ、と筆者は述べています。

面倒くさいこの掃除、実は体にいい運動。そう思うと、嫌々するよりこころには良さそうです。お部屋がキレイになると気持ちもいいですよね。そしてウキウキして体もいい状態になると、お肌も一緒にピチピチしてくるかもです!(「見た目年齢とカラダ年齢」)

 

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参考文献

1. Alia J. Crum et al. Mind-Set matters. exercise and placebo effect. Psychological Science Vol 18, issue2, 2007.