ポジティブになるトレーニング / by Noriko Ikedastemo

前回、楽観的に考えることと病気のリスクについて紹介しました(楽観的に考えることと病気のリスクの関係)。しかし、私のようにもともと心配性で、ついネガティブに考えがちな人はたくさんいるのではないでしょうか。前回紹介した参考文献の中で、トレーニングをすることで楽観的に考えられるようになれたという報告がいくつか紹介されてました。今回はその中から、簡単にできるものをひとつ、紹介します。

では、静かな部屋で、紙、書くもの、タイマーを準備しましょう(参考文献1)。

タイマーを1分間に合わせてください。将来、実現可能な中で、一番ベストな状態にある自分を想像して見てください。すべてが思い通りに行って、理想の状態になりました。一生懸命努力して自分のゴールすべてを達成できました。夢が叶って、思う通りの自分になりました。では、1分間、想像して見てください。

1分間が終わったら、次は15分間です。想像した内容を紙に書いていきましょう。15分間、書き続けてください。書くことがなくなったら、同じことをもう一度書きましょう。とにかく15分間ずっと、書き続けてください。正しい文法とか、正しい文章でなくて構いません。誰にも見せる必要もありません。

はい、15分が終わりました。では、次は5分間です。あなたが書いた内容、つまり理想の状態になった最高の自分、理想通りの将来について、できるだけあざやかに頭の中で再現しましょう。

できましたでしょうか?

Petersらは、21歳から50歳の82人を2つのグループに分け、2つの教室に分かれてもらいました(参考文献1)。一つ目のグループには上に書いたことをしてもらいました。つまり、理想通りの将来、最高の自分について考え、書き、頭の中で再現してもらいました。もう一つのグループへのお題はこちら。

1分間、毎日の日常生活を思い浮かべてください。つまり、いつもの普通の毎日で、考えなくてもしていることです。例えば授業とか会議とか、普段会う人とか、いつものことです。だいたい毎日がどんな感じかを考えてください。そして15分間それを書き続けて、その後5分間、いつもの自分を頭の中でできるだけあざやかに頭の中で再現してください。

この二つのグループに同じテストをしたところ

理想的な自分について想像したグループの人は、もう一つのグループと比べて、明らかにポジティブな感情が増え、将来に対してもポジティブに考えるようになっていました。

 

理想の状態を想像するとワクワクしますよね。研究の結果は、ワクワクするだけでなく、将来に対してよりポジティブにとらえられるようになる、つまりはより楽観的に、将来がうまくいくように考えられるようになった、というものでした。

もちろん一時的に気分が高揚しただけという可能性も否定はできませんが、続けることでポジティブな気分も続くのではないでしょうか。

 

私は心配性が年々ひどくなるので、以前精神科医が書いた「心配性を治す本(タイトルはよく覚えていませんがこんな感じです)」を読みました。いろいろな方法や考え方が書いてあったのですが、私にとって一番効果があったことを要約しますと、

「心配」は悪い事態を想定してそれに備えようとする本能なので、本来は必要なものである。だからと言って心配しすぎたところで未来を変えることはできない。つまり心配している時間は実は非常に無駄で、もったいない。実際何かが起こってからどうしたらいいか考えようと思いなさい。

ということでした。

その本を読んでからは、こうなったらどうしよう(大体ほぼあり得ない最悪の事態を想像します)とドキドキし始めた時、あ、また始まったぞ、と自覚します。そして、心配しても未来は変わらない、この時間がもったいない、本当に起こってから考えても間に合う、と自分に言い聞かせます。そうすると気分が楽になり、それ以上心配し続けることはなくなりました。

ただ、「最悪のことを心配してドキドキ」は止められるようになりましたが、基本的には何かと悪い方を想像してしまいます。いい方を想像してやっぱりダメだった時に、がっかりしたり傷ついたりするのがイヤだから、という理由もあります。

でも、ポジティブ思考をしたけれどダメだった時にがっかりする程度のマイナスポイントと、ポジティブ思考で得られる健康のプラスポイント(楽観的に考えることと病気のリスクの関係)を比べたら、プラスポイントの方がはるかに大きいですよね。

仏教的な考えなのか日本的な考えなのかはわかりませんが、「欲張ることはよくないこと。今あるぶんだけに感謝するべき。」という考えは広く行き渡っている気がします。でも、すべて思い通りになった理想のベストな自分を想像してウキウキすることは、心と体には良いようですよ。

 

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参考文献

1. M. Peters et al. Manipulating optimism: Can imagining a best possible self be used to increase positive future expectancies? The Journal of Positive Psychology. Vol.5, No 3, May 2010, 204-211