孤独と不健康 / by Noriko Ikedastemo

アンチエイジングの基本は食事療法、運動療法です。でもそれだけではなく、社会環境やストレスなど、いろんなバランスが大切ということを以前書きました(健康情報が多すぎて何をしたらいいか分からないとき)。そのいろんなバランスの中のひとつ、「孤独」や「社会的孤立(一人暮らし、家族や友人がほとんどいない、他人とあまり接点がない、など)」が健康と関わっているという論文が色々ありますので、今回はそちらを紹介します。

1. 孤独と心臓血管病、脳卒中

これまでに「孤独」「社会的孤立」と、心臓血管病や脳卒中との関連を調べた論文がいくつもあります。これまで発表された論文をさらにまとめ直して解析した報告がありました(参考文献1)。

Valtortaらは、23個の論文をまとめて解析し直したところ、人とのつながりが乏しい人はそうでない人と比べて、心臓血管病のリスクが29%増加、脳卒中のリスクは32%増加していたことがわかりました。

 

2. 孤独と認知機能

Donovanらは、65歳以上のアメリカ人8382人を1998年から2010年まで追跡。2年ごとに孤独、うつ状態、認知機能、健康状態等について調べました(参考文献2)。最初から認知機能が低かった人は「孤独」である率が高く、また、最初に「孤独だ」と答えた人はそうでない人と比べて、その後の認知機能の低下が早かったことがわかりました。また、うつ状態も認知機能低下が早くなることと関連していました。

「孤独」だとアルツハイマー病のリスクが倍になるという報告もあるとのことです(文献2の中の参考文献。)

 

3. 孤独と健康状態

Shankerらは、イギリスに住む50歳以上の8688人について、喫煙、身体活動などを調査。また、そのうち5000人以上の人を2年ごとに訪問し、血圧、血中コレステロール、炎症マーカーを調べました(参考文献3)。

「孤独」を感じる人と「社会的孤立」の人はそうでない人と比べて、明らかに身体活動が低く、「社会的孤立」の人は明らかに高い喫煙率を示しました。また、「社会的孤立」の人は、高血圧や炎症マーカーの増加と関連していました。(炎症マーカーが高いことは、心臓血管病や脳卒中のリスクと関連していると報告されています。(文献3の参考文献))

ちなみに、対象人数は少なめではありますが、孤独な人や社会的孤立の人たちと関わり合って社会的活動に組み込んだり、教育したりすることで、より健康な結果につながった、という報告もあるようです(文献3の参考文献)。

 

「孤独」を感じたり、感じなくても独りの時間を長く過ごしていると、何かと不健康なことにつながるようです。「寂しさ」自体がストレスということもあるでしょう。また、魅力的で便利なものは不健康なことが多く、健康なことはちょっとした努力を必要とすることが多いですよね(健康情報が多すぎて何をしたらいいか分からないとき)。気にしあえる相手がいないと、楽で便利な方を選びがちになったりします。あるいは、さみしいこと自体がしんどいことなので、他は何かと楽でしんどくない方を選びがちになったりもするかもしれません。楽を追求して単調で刺激のない生活になると、認知機能も落ちてしまいます。

家族との関わり、友達との関わり、大事にしたいですね。

 

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参考文献

1. Nicole K Valtorta et al. Lonliness and social isolation as risk factors for coronary heart disease and stroke: systematic reviw and meta-analysis of longitudinal observational studies. Heart 2016;102:1009-1016

2. Nancy J. Donovan et al. Lonliness, depression and cognitive function in older U.S.adults. Int J Geriatr Psychiatry 2016

3. A.Shankar and A.McMunn et al. Lonliness,social isolation, and behavioral and biological health indicators in older adults. Health Psychology. 2011, vol.30, No.4, 377-385