脳のアンチエイジング part 2 運動編 / by Noriko Ikedastemo

みなさんこんにちは。先月はお休みして申し訳ありませんでした。

それでは心新たにまいりましょう。part 2では、

記憶の場所 海馬

いくつになっても海馬を鍛えられる

 

これらについて説明していきたいと思います。

記憶の場所 海馬

「海馬」は、脳の中で一時的に記憶を溜めておくところです。覚えたことは、まず脳の中の「海馬」に「短期記憶」として蓄積されます。その中で、大事なもの、印象的であったものは脳の中の別の部位に移動し、記憶されます。これを「長期記憶」といいます。

上図の色のついた小さな部分が「海馬」と呼ばれる部分です。

認知症状がなくても、海馬を含め脳全体は年齢と共に少しずつ萎縮します。アルツハイマー型認知症では、特にこの「海馬」の萎縮がアンバランスに進みます。

海馬がどんどん縮んでくるととどうなるか。「短期記憶」がまず障害されます。昔のこと(数十年前のことなど)は覚えているのに、さっきご飯を食べたことを忘れる、などの症状につながります。

 

いくつになっても海馬を鍛えられる

以下はEricksonら(参考文献1)の研究結果です。

60歳から77歳の健康な男女120人を対象に、運動グループとコントロールグループ(ストレッチグループ)の2グループに分け、半年後、1年後と頭のMRIを撮影し、比較しました。その結果がこちら

                                         参考文献1より引用作成

                                         参考文献1より引用作成

海馬は認知症状がなくても、高齢になると1年で1〜2%ずつ萎縮していきます。それが、運動グループでは1年の運動の後、約2%体積が増加していました。数字だけ見ると小さく感じますが、年齢とともに起こる萎縮を止めるだけでなく、増大するというのはすごいことなのです。

ちなみに、この時の運動グループの運動内容はこちら

最初の週は

5分ストレッチ → 1日10分、早歩き(ちょっとしんどいと感じる程度。研究では心電図モニターをつけてチェックしながら歩いてもらっています) → 5分ストレッチ

を、週3日行います。

毎週歩く時間を5分ずつ伸ばしていきます。第2週目は1日15分早歩き、を3日間ですね。7週間目には1日に40分早歩きを3日間。その後そのまま1日40分早歩きを週に3日、1年間続けてもらった結果が、上記結果につながりました。

 

歩くだけなら、いつでもできますね。ゆったり歩くのもいいですが、時々早歩きをおりまぜて、さっそうと歩きましょう!

 

 

他に、運動介入3か月後、海馬の血流も血液含有量も増加していた、という報告もあります(参考文献2)。血液は栄養運搬路ですから、活発に機能していることがわかります。3か月でも結果につながるのは、励みになりますね。

また、有酸素運動は海馬の大きさと相関し認知機能を改善すること、最大酸素摂取量と海馬の萎縮は反比例する(いくらでも走れるような持続力のある人は海馬も大きい)という報告もあります(参考文献3)。

脳の神経細胞は年齢と共に衰えて終わり、ではなく、いくつになっても鍛えることができる。ステキですね。

ちなみに、マウスに強いストレスを与えると、海馬の神経細胞死が起こるそうです。ヒトでは、ストレスがかかるとストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されます。ストレスが慢性的にかかると、コルチゾールは持続的に分泌されます。これがずっと続きますと、、、その期間に比例して海馬の萎縮がみられます!

ストレスを避けることはなかなか難しいと思いますが、できるだけ発散して持続させない方法を探りましょう!