運動と血管のアンチエイジング (part 3) / by Noriko Ikedastemo

みなさんこんにちは。今回のテーマはこちらです。

 

運動で動脈硬化を改善しよう。

体が硬い人は血管も硬い?!

Part 1 、Part 2をまだお読みで無い方は、そちらから読んでくださいね。

 

前回は健康な人を追いかけて高血圧発症をみるという予防に関する情報でした。今回は、運動で動脈硬化は改善するのかという話、そして体の硬さと血管の硬さについての話です。

 

S.Fujie(文献1)らにより、健康な中高年を対象として運動と動脈硬化の変化を調べる研究が行われました。対象は34人の健康な中高年(平均年齢67歳)で、運動グループと運動しないグループの2つに分け、運動グループの人たちには8週間有酸素運動(週3回、1日45分)をしてもらいました。

 

その結果がこちらです(グラフはいずれも文献1より引用作成)

動脈硬化と運動.002.jpeg

運動グループの人たちは

動脈硬化度(頸動脈β-stiffness)が改善

NO(血管を広げ、動脈硬化の進行を防ぐ作用のある物質)が血液中で増加

最大酸素摂取量(運動持久力を決める大事な要素)が増加

 

していることがわかりました。

 

他にも、運動する高齢者は動脈硬化度が低いという報告もあり、有酸素運動により加齢で起こる動脈硬化リスクを予防、改善できると考えられています。(文献2)

 

 

続いて別の報告です。

 

K.Yamamotoら(文献3)により、日本の健康な若年(29-39歳)、中年(40-59歳)、高年(60-83歳)合計526人の体の硬さと動脈硬化度を調べた試験が行われました。

 

 

体の硬さは床に足を伸ばして座り、前屈して手でつま先をつかもうとする、右のイラストのようなテストで測定されました。

 

その結果

それぞれの年代で平均以下を体が硬いグループ、平均以上を体が柔らかいグループに分けたところ、

 

中年、高年では体が硬いグループで明らかに血圧も動脈硬化度も高かった

 

という結果が出ました。

この結果について筆者は、さらなる研究を要するとしながらも、理由として血管の硬さはエラスチン、コラーゲン等の筋肉と同じような構造も影響していて筋肉の硬さと関連しているのかもしれないと述べています。

また、動脈硬化は血管の緊張状態が影響しますが、柔軟運動(ストレッチ)により副交感神経が優位になり(副交感神経については最後に詳しく説明しています)血管の緊張がゆるみ、動脈硬化改善につながるのではないかとしています。

 

別の文献(文献4)でも、筋力トレーニングの動脈硬化への効果を見るために対照群として設定した「柔軟運動グループ」の方が動脈硬化が改善した、という予想外の結果がでています。

 

ストレスや緊張、イライラが多いと、交感神経が優位な時間が長くなり血管の緊張も続いてしまいます。有酸素運動で汗を流した後は柔軟運動(ストレッチ)をすることで、体も心も血管も、ほっと解放してあげましょう。

自宅でできる柔軟運動(ストレッチ)についても別記事にて紹介しています。

 

 

(付録)

自律神経=交感神経と副交感神経

自律神経とは、内臓(心臓や消化管など)の運動や分泌などをつかさどる神経です。交感神経と副交感神経という2つの相対する神経が、バランスをとりながら内臓臓器をコントロールしています。

 

交感神経

 

エネルギーを発散

血管収縮、血圧上昇、消化管運動低下など

 

 

 

 

 

副交感神経

 

エネルギーを蓄える。

血管拡張、血圧下降、消化管運動促進など

 

 

 

 

自律神経は本人の意思とは関係なく、刺激や状況に反応してどちらかの神経が優位になります。ですので、ストレス・緊張・イライラが続くと、血管の緊張も続いてしまいますね。

 

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参考文献

  1. S Fujie et al. Reduction of arterial stiffness by exercise training is associated with increasing plasma capelin level in middle-aged and older adults : PLoS One 2014; 9; e93545
  2. アンチエイジング医学の基礎と臨床 第3版 P.296
  3. K Yamamoto et al. Poor trunk flexibility is associated with arterial stiffening : Am J Physiol Heart Circ Physiol 297 : H1314-1318, 2009
  4. Miriam Y et al. The effects of strength training on central arterial compliance in middle-aged and older adults : European J of Cardiovascular Prevention and Rehabilitation 2008, vol15 No2 149-155