運動と血管のアンチエイジング (part 2) / by Noriko Ikedastemo

(Part1をまだお読みでない方は、そちらから読んでくださいね)

運動(ウォーキング)で高血圧予防 

(すぐに肥満を解消できなくても、まずは歩いてみませんか)

Gang Huら(文献1)により、フィンランドの健康な男性8302人と女性9139人を平均11年間、運動量、肥満、高血圧発症の関連を調べた試験が行われました。あまり動かないグループ、まあまあ運動グループ、しっかり運動グループの3つに分けた結果を、下に示します。(仕事、通勤時間と方法、休みの日の運動具合の総合判定でこの3グループに分けられました。)男性の結果が下のグラフです。(女性も同様の結果でしたので省略します。)

                                                                (グラフは文献1の結果をもとに作成)

グラフは、肥満グループと肥満でないグループに分けて、高血圧のハザード比を示したものです。

あまり動かない肥満グループが一番高血圧リスクが高いことがわかっていただけましたでしょうか。そして運動量が多くなるほど、高血圧発症のリスクは下がっているのがわかります。

この結果で面白かったのは、

「肥満が解消されていなくても」運動効果が認められた

ということです。

 

もうひとつ、別の論文です。

T. Hayashiら(文献2)により、6017人の日本人35歳から60歳の健康な男性を対象として最長10年間、通勤で歩く時間、休日時間の過ごし方、高血圧発症について調べた試験が行われました。 

通勤での歩行時間と高血圧発症についてみた結果

0-10分、11-20分、21分以上の3つのグループに分けると、

11-20分のグループでは12%、21分以上のグループでは29%高血圧発症リスクが下がりました。

 

休日時間の過ごし方と高血圧発症について調査した結果

4年間少なくとも週1回運動する人は、そうでない人と比べて高血圧発症リスクは36%下がりました。

 

通勤で歩くことも立派な身体活動で、高血圧のリスクが下がった。また、週1回の運動でも、続けることで高血圧のリスクが下がった。

ということが示されました。

 

肥満で血圧高めの人を見るとドクターは「まずやせましょう」と言うかもしれませんが、やせるって「まず」できるような簡単なことではないですよね。でも「まず」歩いてみましょう、と言われたらどうでしょうか。まず、歩くことから始めてみませんか。

もちろん肥満は万病のもとですから解消したほうがいいのですが、最初の目標を体重減少に置くよりも簡単ですぐ始めることから始めて、少しずつそこに近づけていけたらいいですよね。

ただし、体重がかなりある方や膝がもともと悪い方は、積極的に歩くことで膝にかかる負担が強くなって膝を痛める危険性があります。そのような場合は、水中ウオーキングをお勧めします。水中であれば浮力で膝にかかる負担は軽くなりますし、水の抵抗に逆らって歩くのでより多くのエネルギーを使います。「運動のはなし」のコーナーで詳しくウォーキングと水中ウォーキングについて説明があります。ぜひご覧ください。

 

ではまた次回、運動と血管のアンチエイジングPART3へ続きます。

 

参考文献

(文献1)Gang Hu et al. Relationship of physical activity and body mass index to the risk of Hypertension : A prospective study in Finland. Hypertension.2004; 43; 25-30

(文献2)Tomoshige Hayashi et al. Walking to work and the risk for hypertension in men: The Osaka health study. Ann Intern Med.1999;130;21-26